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美しき冒険旅行のmimicotのレビュー・感想・評価

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)
4.2
オーストラリアの大自然と野生動物が映し出され、ドキュメンタリーを観ているように、美しい映像に見惚れました。そしてただ美しいだけではなくて、強いメッセージが込められているのもこの作品の見どころです。

ピクニックに来たのに、突然の出来事で大自然に放り出されてしまう姉弟。
歩き疲れて眠るふたりに、月の光がふんわり包み込む。愛しいシーンでした。気丈な姉に守られて、どこにいても楽しそうで無邪気な弟がかわいかった。

ふたりは、WALKABOUT(アボリジニの通過儀礼)中の原住民の少年と出会い、文明から離れ大自然の生活を享受していく。都会では子供に見えた姉が、置かれた状況に混乱することなく弟を守り、大自然では大人に見えた。

原住民の生きる為の狩りと、文明人の欲の為の狩り。
対比と差し込まれるショットから強いメッセージが溢れ出す。
ミスマッチだと思った学生服は、"冒険"の始まりと終わりを脱ぎ着することで表現しているようにも思える。
"冒険"と"メッセージ"とは、「原点回帰」ではないでしょうか。

裸で泳ぐ姉と、アボリジニのダンスのシーン、原住民の涙は胸にしまい込みたい。
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