かめの

夕やけ雲のかめののレビュー・感想・評価

夕やけ雲(1956年製作の映画)
4.3

ハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもない、少年の未来へ続く終わりだった。(換言すれば、運命に抗えない少年の)

この映画を観て、俗的な言い方をすれば、腐女子だと思っていた自身の考え方に変化があった。個人的なことだが、私はプラトニックな同性愛を愛していた。そしてその欲望に忠実に、そうした漫画や小説を読んでいた。二次創作もその一つだ。しかし、そうした二次創作によるBL化を批判する友人がおり、彼女曰く、どうして腐女子は少年漫画の友情を恋愛関係に変換するのかというものだった。

わたしは彼女を差別的だと感じていたが、この映画を観て、何だか彼女の気持ちが分かったような、そしてそれは私の歪んだ価値観の中で理解された。

つまり、この映画の少年同士の友情を恋愛的なものとして受け取ることは、傲慢であると。恋愛なんてものに変換してくれるな、と思ってしまったのだ。

まぁ私のこうした個人的な話は置いておいて、感想に戻ると、私が最も悲しかったのはお母さんが大阪へ行く子の靴を履かせているシーンである。もちろん、その後のヨイチの言葉にも胸が詰まった。

それでも、お母さんが自分で履くことの出来る年齢の子供の靴を履かせてやる、その心理があまりにも「母親」的で悲しい。いつまでたっても、「今日は寒いから、暖かくしていくんだよ」という母のように。
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