HidekiIshimoto

夕やけ雲のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

夕やけ雲(1956年製作の映画)
5.0
東京タワーが建った翌年制作の昭和映画。冒頭「この大都会の片隅で‥」の文字からはじまり、ああアレのもとはコレかぁともだえる。ああたまらんなぁ。面白いなぁ。けどこれ超弩級長男号泣映画。たぶん。次男の俺でさえむせび泣く。木下恵介はほんと感情の一番淡くて脆い部分をゴルゴ並みの精度で狙い撃ちしてくる。観終わっても思い返してくわっと泣きそうになる。その涙は有村架純とかがさあ泣けほら泣けと強要してくる涙とは次元が別。なんともしれん市井の悲哀を映像そのもので紡ぎ出すプロの技。小さく狭い舞台の向こうに大地と大空と永遠の広がりを感じる大きな映画。聖女が多めの久我美子さまに超絶Bichやらせるあたり、それを鉄壁に演じてみせる久我さま、安定の昭和オヤジ東野英治郎、その他の皆々様、プロだねぇ。