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黒い家のEirainのレビュー・感想・評価

黒い家(1999年製作の映画)
2.6
原作は、第4回日本ホラー小説大賞で大賞を受賞した、貴志祐介の代表作の一つ。原作小説を読み終えたので、記念に再鑑賞。

貴志祐介が描く「サイコパス」と言えば、今となっては『悪の教典』の知名度が圧倒的であると思われるが、個人的には本作『黒い家』のイメージの方が強い。原作小説は、保険金詐取のためにおぞましい行動を起こすサイコパスの恐怖を、その圧倒的な筆致で描いた秀作。

さて、本映画化作品がどうだったかと言えば・・・う~ん、なんともこれじゃない感。大筋は大きな改変もなく原作どおりなのだが、なんというか原作にあった"静"と"陰鬱さ"の良さがなくなっている。恐怖によって過剰なほどに震え怯える若槻、言動がなんともコミカルな重徳、ボウリングが趣味のスポーティな幸子...etc。重くのしかかってくるような恐怖が醍醐味と感じていた私にとっては、本作の"動"に寄せた作風はどうにも合わなかったようだ。

また、クライマックスで原作から追加されたシーン。かの有名(?)な「乳しゃぶれ」シーンは・・・まぁ幸子の狂気を魅せるということで許容しよう(震え)。それよりも、幸子が、親から保険金殺人未遂の被害を幼少期に受けたことを仄めかす言動。映画化あるある―――「原作にない勝手な理由付け」。ケースバイケースだが、十中八九、余計。(無論、本作も漏れなく。)

最後に・・・「しぶき たてすぎ」(いや、本当に。クレーム入れられても文句言えないレベルよ。)
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