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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序のdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.8
【活動限界まであと1分です!】

最近、うちの息子が変だ。
9歳の息子の口から「ゲンドウのやろうとした『人類補完計画』ってさぁ・・・」とか「アダムとリリスはね・・」とか「S2機関ってさぁ・・・」とか、一緒に風呂に入るとやたらとEVAに関する専門用語が飛び出すようになった。

(はっは~ん、さては『シン・ウルトラマン』観てから庵野沼にはまったな?)

「お父さんは映画館でこれ(新劇場版シリーズ)観たんでしょ?いいな~。僕も映画館で「ニアサー」のとことか観たかったよ」

最近やたらとYoutubeとかの考察動画を見ながら一生懸命勉強しているうちの息子は、すでにエヴァに関するお父さんの知識量は超えているんだと思う。

まぁでもそんなもんなのかもね。
考えてみれば、僕も小学生くらいの頃にちょっと背伸びしてお父さんと対等の会話がしたくて、難しい事とかかじったりしたことあったもんな~。
凝り性なところは僕に似ているのかも(笑)
(・・・但し、お父さんは飽きっぽいから、そこは似ないほうがいいけど)

どんな取っ掛かりでも構わないから、そうやって物事を調べてみようという気概は褒めてやりたい。
それがEVAやマイクラだけじゃなく同じように勉強にも向けば尚善し。

ってなことで前日に久しぶりに『シン・エヴァ』観ようよということで、息子とアマプラでシン・エヴァをサクッと鑑賞して、彼なりに納得した様子。
前に観た時は全然わかんなかったけど、勉強してから観ると小学生なりに「とんでもない世界観」だという事がわかったらしい。

「こうなったら、もう一回『序』から観ないとダメだね・・・・」
ボソっと呟く息子っち。

(何がダメなん?)

苦笑いの僕をよそに、彼の手はお母さんの厳しい視線をかいくぐってリモコンへ到達。
(・・・いっぺんに観たらお母さんに怒られるかな?やっぱり)
彼なりに「TVの見すぎ=いけないこと」という認識はあるようだ。

『観るならば早くしろ。でなければ(電源を)消せ!』

テーブルに肘を着いたお父さんは、両手を前で組んで普段かけない眼鏡をキラ~ンと光らせながら息子に言い放つ。

『・・なきゃダメだ、観なきゃダメだ、観なきゃダメだ!エィ!(ポチッ)』
そういってリモコンの再生ボタンを押す息子。

ここからは時間との戦い。
お母さんがお風呂から上がってくるまでがアマプラの「活動限界」。
最期まで観られるのか?間に合うのか?それとも強制終了されてしまうのか?
チラチラとお風呂のほうを気にしながらもTVを観る息子。

(カラカラカラ・・・)

お風呂の戸が開く音とほぼ同時に映し出される「終わり」の文字。

(・・・ふぇぇぇ、間に合ったぜぃ)

小声で呟く息子にお父さんは一言声をかける。

「おめでとう」


それにしても・・・
確かにこれは突き詰めれば突き詰めるほど味が出てくる「スルメ映画」ですね。
僕も、忘れていたことも含め、今では息子に「これなんだっけ?」と質問しながら一緒に見ましたが、明らかに前回鑑賞したときとは違った印象を感じたし、意味を知ってから見たときの「辻褄パズルの爽快感」たるや。

エヴァシリーズも勿論そうなんだけど、何より凄いのは、庵野作品って観る時代に関係なく成立する(させる)説得力があるんですよね。
多少の矛盾すらも世界観の一つとして、あえて無かったことにはしない。
その上でそれすらも全部ひっくるめての「世界」が出来上がっているので、いちいち突っ込む気持ちすらなくなる。

で、見れば見るほど難解な世界なので、僕は自分自身の性格的に危険を感じて回避したけど、息子はまんまと「沼」にはまったらしく・・・。

これから大変よ~、庵野沼は。
下手すりゃ年単位で待たされるとこもあるけど、その分考察し甲斐のあるものをぶつけてくるからね。
ま、息子っちはまだ小学生だし、時間はたっぷりあるか。

・・はい、ということで、次は俺たちがお風呂の順番だってさ。
「風呂は心の洗濯よ」ってね。

それでは、ひとっ風呂行ってきます。
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