おけい

海辺のホテルにてのおけいのレビュー・感想・評価

海辺のホテルにて(1981年製作の映画)
3.5
悲しい過去を背負った女エレーヌ(カトリーヌドヌーブ)と彼女に一目惚れした一途な年下の男ジル(パトリックドヴェール)の恋愛ドラマ。

男女のくっついたり離れたりという恋愛メロドラマ的な題材は私的にはあまり得意ではないのだけど…パトリックドヴェール目的で鑑賞。思いのほかメンヘラ男の役だったので、本作の撮影の翌年に自殺を遂げたドヴェールを重ねて観てしまいました。

35歳の若さで亡くなったドヴェールはセザール賞に6回ノミネートされるなどフランス映画界の有望株で将来を最も期待された俳優でした。キャリアもうまく行っていた中での突然の自殺で当時かなり衝撃を与えたようです。ドヴェールの主演作で『セリノワール』という映画が大好きです。

どこか陰のあるエレーヌ。最初はなかなかジルを心から受け入れようとしないのだが、麻酔医をしているエレーヌに会うためわざとケガをして彼女の病院に行ったり、エレーヌがジルを車で撥ねそうになったことがきっかけで出会うなど前半のやり取りはロマンチックです。

しかし、エレーヌがジルの愛を受け入れ始めるとジルはエレーヌの死んだ恋人に嫉妬したり彼女を受け止めきれずに苦悩しまくり、エレーヌを避けたり苛立ちを露わにします。直球で生きてきた私のような人間にはなかなか難しい…私なら嫌いになってしまいそう。その辺の心情の理解に苦しむワタクシはまだまだなんでしょうか(笑)

割とポーカーフェイスを決め込んでたドヌーブが少しずつ男を愛するようになっていく表現がさすがの貫禄の演技。パリから離れた海辺の田舎街という背景にドヌーブの金髪とビビットな色の服が映えて印象的。

真っ赤な服やブルーの服に緑のコートが素敵過ぎる。だからといって簡単に真似できない。ドヌーブのようなオシャレ上級者だから似合うんだろうな。ドヌーブを見てるだけで飽きませんでした。
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