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太陽と月に背いてのRのレビュー・感想・評価

太陽と月に背いて(1995年製作の映画)
4.7
思春期の頃にはじめて見て全身をすさまじい電撃が貫き、あの頃、何度くりかえし見たことか! ドンバマリの極致だった。今回ちょー久しぶりに見てみたのだが、最初から最後まで釘づけ。好きな気持ちに変わりはなかった。一体あのときの電撃の正体とは何だったのか。ストーリーはフランスを代表する詩人ベルレーヌとランボーの破滅的な愛をテーマの中心に据えている。ある日ランボーから桁外れた鬼才ほとばしる詩を受け取り、彼の革命的な才能に惚れ込んたベルレーヌは、田舎の村からパリの妻の邸宅に彼を招待する。やって来たランボーは武骨で無礼でクソ生意気でヤンチャくれの17歳。人を見下しきったひどい振る舞いに唖然とする妻と義母。だが、ベルレーヌは彼女らの狼狽はまったく無視して、ランボーの才能にずぶずぶはまり込んでいく。で、徐々に妻に対して冷淡になっていき、ついには、妊娠した妻を突き倒し、そのあとで、ごめんよ、許してくれ、とめそめそ泣き出す始末。何たる情けなさ。ある夜、ランボーはベルレーヌに「君とボクは助け合い、お互い得られるものがなくなったら別れよう」、ベルレーヌは「ボクは君の生活をサポートする。君は僕の錆びついた才能を蘇らせてくれ」と語り合ったのち、ふたりは激しくキスを交わす。そこから彼らの愛の生活が始まる。天真爛漫な悪魔のような天才を演じるのが天使のように美しいレオナルドディカプリオ。ちょうど少年から大人へ移り変わりくらいの時期で、ボクが受けた電撃の半分以上が、ディカプリオの圧倒的な美貌だったことをこのたび悟りました。特に髪がバサバサなシーンのイケメンさがヤバすぎる。ディカプリオがもっともイケてるピークの頂点はこの映画なんじゃなかろうか。大胆不敵な性格の悪さとワガママっぷりがサイコーに映えていて、たまらぬ魅力。そりゃーハマるわ。そして、電撃の残りは、ベルレーヌ演じるデイビッドシューリス。ハゲで醜くて不恰好な気取り屋の高慢ちき、自分の古びゆく才能を惜しむ以上に、ランボーの革新の輝きに魅せられ、酒に溺れ、家族を捨て、すべてを失いながら、ランボーに振り回される哀しきおっさん。彼がまるで草食動物や爬虫類のような上目遣いをするキモさ、少年のように喜び、悲しみ、悶え、叫び、甘えるキモさ。至高のキモさ。最高の演技です。だが、ランボーはランボーなりに、ベルレーヌのことを侮蔑しながらもちゃんと愛してて、彼自身もまたベルレーヌに振り回されてるところが面白いしカワユイのであります。てか、まさかのランボーがタチでベルレーヌをガン掘りしてました……欲情、するのだね……。このふたりの天才の、ロクでなしなアホさ加減は、おそらく見ててウンザリする人の方が多いと思うのだが、ボクは、ウンザリしながらも、深く深く魅了されてしまうのです。それはやはり、どう考えても、ディカプリオが美しすぎるから。この頃のディカプリオに接近されて、一瞬の迷いもなく妻を棄てないおっさんはおりますまい。そして、グレーにくすんだ記憶の中ような映像、淡々とハイテンポにダークな弦楽器、ロマーヌボーランジェの童顔爆乳、農家生活の無為に人生すり減らし感、ランボーの妹のイヤーな感じ、そしてラスト、老廃した切ない人生の残りカスのようなベルレーヌが飲む二杯のアブサン。全体的には地味な作品ながら、あらゆるシーンが印象的。日本では、いまやソフトが入手困難なDVDしかなく、もしこれがBlu-ray化されでもした暁には、日本中のBLファンが悲鳴をあげながら入手しようとするだろうし、俺もその魑魅魍魎の一人となろう! なので、してください、Blu-ray化。何とぞ!
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