八木

トイ・ストーリー2の八木のレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー2(1999年製作の映画)
3.3
 続編ものにありがちな、偉大な前作における気持ち良い主役たちの成長に少し見劣りする成長のある映画。コメディは前作以上に面白いし、オモチャ同士のフレンドシップを活かしつつ、オモチャやモノと成長する人間との立ち位置も見せ、収まりよくなってる…ように思えませんでした。

 結構気になった結論部分なんですけど、ジェシーがエミリーのものでなくなることに対する恐怖や悲しみを拒否して博物館入りを望んでいたのは、「エミリー」的な存在をなくすこと自体に起因してるような描き方をしてたんですよね。にもかかわらず、新たな持ち主が現れることを示したら「え、マジで?行く行く!」みたいになって、キャラクターの抱える問題がすり替えられたように見えたんですよ。ラスト近く、無邪気にジェシー持って遊ぶ新たな持ち主の姿を強調して移していたので、そのゴマカシ感がより強くなってるように思いました。
 極めつけに、「オモチャは子供に遊んでもらうことが幸せである(例えいつか持ち主が消えたとしても)」とセリフでほぼ言ってしまってることとか、結局ジェシーがゆくゆく同じ悲しみを持っても新たな持ち主が現れることをただ願っていくという、結構救いのない将来が待ってることを示唆してしまってんじゃないんですかね。前作のファンシーオモチャ社会の一部を垣間見る楽しさと、一気に普遍的な登場人物の成長エンタメにフォーカスする話から、なんだかドス黒さが残るエンディングに思えました。
 あと、初期設定バズをコメディリリーフに使ってしまってるところも、1作目の深刻さを茶化しているように見えてモゴモゴしたなあ。初期設定バズも、アンディ所有バズになるまでにいろいろ葛藤があったわけですやん。彼が自身のオモチャ性に気づいて絶望するパートは、迂闊に笑いものにしてよいのかしらね。考えすぎか。

 とはいえ、4年でCG表現は爆発的に進化し、CG映画内で1930年台モノクロテレビ人形劇をブラウン管テレビ内で放送させ、全く違和感なくできているところとかは感動しておりました。
 文句ダラダラ書いてしまったけど、偉大な前作と僕内時間での短いスパンで鑑賞したためであり、基本的にはアクション、コメディ、スムーズなストーリーテリングで楽しい時間が多かったと思います。
八木

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