中野シネマ

大いなる休暇の中野シネマのレビュー・感想・評価

大いなる休暇(2003年製作の映画)
3.8
「罪のないウソだ」

島に住み続けるために、島で仕事をするために、工場を誘致する。その条件は医者を島に呼ぶこと。

1ヶ月だけ島に来ることになった医者を定住させるために、島の魅力を“作り出そう”とする。街に出たことのないじいさんたちが。街の人はこれが好きだろうと、都会の装いに。文化から何もかもウソで塗り固め、電話の内容をカンニングする。気に入ってもらい、住みついてもらいたいために。

昔の誇りを取り戻す、地域再生は世界中で。グローバリゼーションによって、経済格差が生まれ、単一化され文化が消え、本来の暮らしがなくなる。一方で、この話は企業の工場を誘致し、働き口を作ることで、誇りを取り戻そうとする。ついさっきに、グローバリゼーションが悪という映画を見た。多国籍企業が進出し、雇用を作ることで助かってるところもあるだろう。でも、それは一時しのぎにすぎず、長い目で見ると、やはり搾取になってしまうのか。難しい。


いや、本当は島民たちのキュートなお話なんですよ。ウソから始まった人間関係も、共有した時間は真実。きっかけはそれぞれで、つぎはぎで前に進めばいい。笑いました、楽しい映画です。
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