84g

ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオンの84gのレビュー・感想・評価

2.9
「神話を元にした大河ドラマ。壮大なら大雑把になっていいわけではない」

 とある田舎の村に、少年アリオンとその盲目の母親が住んでいた。
 ある日、母の古い友人らしき男・ハデスが訪れる。
 そして“母の目を治せる薬草がある”とアリオンを連れ出し、そして冥府へと連れ去るのだった。
 産まれついた運命に翻弄され、アリオンの冒険が始まった。



 主人公にどう感情移入すればいいかが迷子。
 普通に見ていると、「騙されて連れてこられたのに、その誘拐犯の言葉を信じて修行して暗殺を決意する」という無茶苦茶なスタート。
 いや、普通、ウソだと思わない? なんとかして逃げようとするよね?
 そのあとも母を捨てた父親に事情を聞くこともなく迎合しているし、映画がはじまって半分くらいアリオンの迷走っぷりにイライラしつづける作品。
 これねー……1時間くらいまでの流れを、ちょっとバッサリ切って欲しい……。
 ハデスとケルベロスの流れもあっさりしすぎてたし。

 ていうか、巨人くんとは友情あるのにケルベロスはあっさりとしてたのもなんか違和感あった。
 ええ、なんでぇー……? この感情移入を妨げてるよね。葛藤はどうした。
 それだけ騙されながらもリュカオーンの言葉を素直に信じるのは、ちょっとご都合主義は感じた。
 アリオンの蜂起のシーンも、あの説明で立つのは、今までの不満が重なってってことなんだろうけど不自然でない?
 というか、自らのエゴのために民衆を利用して自らの目的のために命を使わせる、ってこれ、ティターンの連中と変わんねぇぞ?
 主人公が正義である必要はないが、主人公を応援するモチベがないので感情が迷子。

 ハデスは「母以外にもうひとり守らなければならない女がいる」とか伝えて動かすべきだったんじゃない?
 アテナとかアレスとか「なんで出てきたの?」って感じだったし、
 っていうか、早く真相を言えよ。プロメテウス。言わないことで状況がどんどん悪くなってたよね。
 時間の配分はガイアの部分も疑問かなー、唐突に出てきて唐突に倒されたよね。
 世界観が結局よく分からなかった。
 SFフレーバーのファンタジーなんだけど、それを味わうには設定とキャラクターが多すぎてゴチャゴチャしてた。
 量が多すぎてひとつずつを絞れてない。獣のような鳥のような友人の活躍シーンは好き。

 声優さんたちと音楽はめっちゃ良かったと思います。
 ていうか、音楽に疎い俺でも久石譲さんは分かった。
 ジブリでお馴染み、壮大で広がりがあり、曲だけで泣けそう。
 ぶっちゃけると、一番の見せ場は音楽かな。
 久石さんのファンは見ていい。作画的にも良いし、音楽を聴くためのPVになっちゃってる感じはした。
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