てつこてつ

この子の七つのお祝にのてつこてつのレビュー・感想・評価

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)
2.7
第一回横溝正史ミステリー大賞受賞の原作は未読だが、子供の頃に、この作品、実は劇場でしっかり鑑賞している。で、中盤に登場する岩下志麻の女子高生時代の写真に劇場で「怖っ!」と一斉に悲鳴と笑いが上がった記憶も鮮明に残っている・・。

作品を見る前から、明らかに犯人は誰かが明瞭な殺人ミステリー物として、映画自体の出来はと言えば、やはり時代も時代なので、所々が良くも悪くも昭和感が漂い古臭い。特殊な凶器で殺害するシーンに飛び散る鮮血のあまりにも不自然な明るい赤の色味とかは血生臭くはないものの、作り物感が有り有り。警察が全く機能しないストーリー展開も微妙。

バラックとかいう言葉も今の若者には伝わるものなのかな?過去の振り返りで戦後の日本でネズミに赤ん坊が囓られる話とか出てきたりとかは、ある意味衝撃的。

ものすご~く突っ込みどころは多い作品ではあるものの出演者陣はやはり豪華。岩下志麻は、「鬼畜」、この作品と前後して出演した金田一耕助シリーズの「悪霊島」や「極道の妻たち」で、完全にこの手のキャラクター色がしっかり付いたかな。小津安二郎の「秋刀魚の味」の頃の清純なイメージは良い意味で消え去った。

この作品で一番怪演ぶりを披露し、また怖かったのは皮肉にも「秋刀魚の味」で岩下と共演もしている岸田今日子。若かりし頃の根津甚八もいい味出してる。

物悲しいサウンドトラックも耳に残る。
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