垂直落下式サミング

ゴースト・ドッグの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)
4.0
連絡手段として飼育していた伝書鳩を殺された日本かぶれの殺し屋ゴースト・ドッグが、復讐を決意して戦いに身を投じていく。監督ジム・ジャームッシュのニューヨーク派なセンスが光る。
燃えよウータン!なハーレム。貧しい町だけど、誰がどうだろうが意に介さず暮らしているような世界。フランス語しか喋れないアイスクリーム屋が出てくるけど、その人がその人であることを許容して、町そのものがどんな人でも受け入れているような自然さ。誰がどうだとかこだわらない。これこそ成熟した社会の在り方であって、目指すべきものだと思う。
太刀の型稽古は本格派。空がめちゃめちゃ灰色な屋上のシーンは、ガタイマックスで絵になりすぎ。主演のフォレスト・ウィテカーは武術に精通している人らしく、当時習っていたフィリピンの格闘技の動きを取り入れているらしい。日本刀の扱いよりも、空手の当て身や小刀殺法のほうが強そう。
でも、葉隠はあんま好きじゃないなー。武士の心構えを説いた本で、読んでみたけど、なんか隙あらば名言かましてやろう感が癪だったし、そんなだから文体とかもイキリ散らしてて嫌いだった。
精神論みたいなことを、すげえ言いやがるんですよね。スピリチュアルとか精神世界の棚に置いとくべき書物ですよ。こんなもんは。
僕は五輪書派の武蔵キッズ。もう、サムライ研究の決定版はこれでいいんですよ。困ったら一番強いやつに聞くのが手っ取り早い。山本常朝とか知らねえもん。こいつ武蔵より強かったわけ?わりいけど、僕らが興味あるのは二番手・三番手くらいまでで、それより下位はお呼びじゃないんすわ。男の子脳ですのでっ!