友二朗

大誘拐 RAINBOW KIDSの友二朗のレビュー・感想・評価

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)
4.3
「今日もお山が綺麗や」

なんという面白さ。

お婆ちゃん無双。
どこまでも爽やかで痛快な一本。

どこか洋画っぽいロックンロールの中、芯に馴染んでくる邦画の青さ。そして温かさ。

バカっぽさを演出上操っているのが好印象。最近の邦画はシンプルにバカっぽい。警察の捜査や逃走劇に関しても、細部まで拘り抜かれていて感心した。明瞭な数字操作をお婆ちゃんがやるという画の面白さも抜群。

5000万の身代金設定にキレて100億に設定するお婆ちゃん。かっこいい..

零れるように笑った。
よくできている。

樹木希林はじめ、皆若い。
ほんで演技力がイカつすぎる。

贈与云々計算のシーン最高。
一生一度の大仕事。

お婆ちゃんのハカ可愛い。

国に対してのお婆ちゃんのやりとりには何処か静かな哀しみを覚えた。こんな深さのある人間になりたい。

とにかくキュートな作品。
読んでくれてありがとう。

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「俺、兄さんの言わはることやったらたとえ火の中水の中思っとったけど、あれだけはあかんわ」

「なんとのう、」

「こちら雷カ
「はいはいこちら雨と風」
このダサさがたまらない。

「間違えあらしまへんな?
 よっしゃ。手打ちまひょ」

「碇はんどうでっしゃろ3億程度で」
「結構でしょうなあ」
これにはド肝を抜かれたが上回ってくるお婆ちゃん。

「もう時間もないさかいに
 ビジネスライクで話しますけどなあ」

「お身体に気ぃ付けはってなあ」

「ほなこの誘拐は登山ナイフの仇打ちか?」
「まさか。あの時お婆ちゃんに
 悪態ついたんは甘えやったんやな
 思うてる。あれまで一重に甘える
 ゆうことも知らなんだし。あれだけ
 優しゅう言われたんも初めてやったし」
「ほな、お礼代わりの誘拐か?」
「そない皮肉言われても困るわ」

「重たいです
 でも任務の方がもっと重たいです」

「例えば獅子の風格と狐の抜け目なさとパンダの親しさを兼ね備えたという所でしょうか」

「こないに美し山やったんやなあ」

「控除分が27億、お目溢し分が37億
 なんのこれくらい700億も取るんやから」
素晴らしい。

「一万円札百万枚の純体積や」

「早い話、あれはお婆ちゃまにとっては
 楽しいメルヘンやったんやな」
友二朗

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