藍住

リリィ、はちみつ色の秘密の藍住のネタバレレビュー・内容・結末

リリィ、はちみつ色の秘密(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

‪ 『オールドガード』のジーナ・プリンス=バイスウッド監督の映画が観たくてレンタルショップに唯一あったこの映画を観た。
この監督の映画を好きになって本当に良かったと咽ぶ土曜日の夜です。
何から何まで素晴らしかった……。

白人の女の子のリリィは家出をして蜂養場を営む黒人のオーガストの家に転がり込むんだけど、リリィの「母親から愛されていなかったのでは?」という罪悪感から踏み出した世界は1960年代という激動と変革の時代で、リリィの変化はアメリカという国の変化なんじゃないかと思った。
リリィは使用人のロザリンと喧嘩した時酷いことを言うんだけど、謝らない子供だった。
そんな彼女がオーガストの家で時間を過ごしていくことで少しずつ変化して輝いていく。
父親から解き放たれた世界は自由で、でも息苦しくて、そんな世界で苦しみながらも生きる人達がいる。
リリィは黒人であるオーガスト達のコミュニティで生活をして、彼女達と視点が段々合っていくのが分かった。
ザックと一緒に映画を観たシーンがそう。
肌の色が違う友人と隣同士で映画を観ることが当たり前だと思っていた。(ただ、世界は変化の真っ最中で順応することができずにあんな結果になってしまうのだが)
黒人達が選挙権を掴み取る瞬間を共有し、それを一緒に喜び、父親と向き合って自分の意見を言うことができるリリィになる。‬
リリィの変化に共鳴するように世界も少しずつ変化をしていく。
あのラストシーンがまさにそうだった。
とても良い映画だった。

これもう12年前の映画だけどこの時からジーナ・プリンス=バイスウッド監督は白人と黒人で映画を作る人だったんだな。
最近よく指摘される都合の良いときに白人が助ける撮り方なんてしない。
白人と黒人、どちらも手を取り合って団結する映画を12年前から撮っていたって……それだけでもう私の心の支えです。
藍住

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