イタリアの巨匠は、晩年にやりたい放題が許されるのだろうか。フェリーニしかり、パゾリーニしかり(死んだのが早かったけど)、そしてこのヴィスコンティ。愛するヘルムート・バーガーの裸体を曝さずにはいられなかったようだ。
シルヴァーナ・マンガーノは『苦い米』で脇毛をもっさり生やしていた頃から変わらぬ獰猛さ。回想場面で短時間登場するドミニク・サンダとクラウディア・カルディナーレは綺麗に画面に収まっている。ヴィスコンティ作品では『山猫』にも主演しているバート・ランカスターは、初期のフィルムノワール作品の頃から、タフガイというよりは、受け身の役柄が似合っていた。巨匠はよく分かっている。
1970年ごろは屋内の会話場面でもズームレンズが多用された。現在の感覚ではダサい。ホン・サンスの、寄っては離れるズーミングはダサさの先の個人芸。