りりー

家族の肖像のりりーのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
3.8
さして面白味のない話(あくまで個人的には)にもかかわらず、まったく飽きずに二時間観ることができた。画面に映るあらゆるものにこだわりが感じられ、映像も絵画のよう。
主題が家族で、少ない登場人物による会話劇&室内劇というところに、ドランの『たかが世界の終わり』を連想したのだけれど、あちらが若さの成せるものならば、こちらは老練の極みといった趣。噛み合わない会話、隠された部屋、不穏な空気、記憶をよぎる女たち、最後の晩餐。終盤の、教授の家族"だった"もの、そして家族に"なろうとした"ものを巡るシーンが素晴らしかった。
役者陣がみな美しいのだけれど、とりわけヘルムート・バーガーは凄い。関わったら不幸になると即座にわかる、けれども惹かれずにはいられない美しさ。絶えず探求してきた美が、その一部が目前に立っていたのだから、ヴィスコンティは幸せだったろうな。
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