シネフィルmonk

家族の肖像のシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
3.7
ローマの豪邸で美術品、「家族の肖像」と呼ばれる絵画コレクションに囲まれ執事、家政婦と暮らす老教授の生活が、屋敷に転がり込んできたある家族によって乱されるさまを描く。右翼の権力をかさにしたずうずうしい侯爵夫人に娘と恋人、それに訳ありげな公爵夫人の愛人。

教授は渋々上階の部屋を借すが、彼らによって静かな暮らしは騒々しくなり、教授の心はかき乱される。しかし、夫人の若い愛人は絵の眼識を持ち合わせ、教授は博識に一目置く。母親、亡き妻らを回想しながら、急にやってきた騒々しい人たちを家族のように受け入れる老教授の悲哀…。

貴族の没落と新興の台頭といった時の微妙な移り変わりを描いた『山猫』とまた違った、味わい深い作品です。ビスコンティ好みの役者も揃い、回想シーンで亡き妻にクラウディア・カルディナーレ、母役でドミニク・サンダも僅かながら映像のみで出演しています。
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