ウサミ

ゴッドファーザーPART IIのウサミのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
4.7
久々に映画観れました。
こっから沢山観るぞ〜!

久々に観たのは、永遠の名作。


パート1と合わせて、約6時間半。
400分弱に渡る時間をかけて描くストーリー。
細部に至るまでに「人間の性」が籠っており、非常に見応えがあった。
そして、長すぎる時間を退屈と思わせない魅力があった。


6時間半もの時間をかけて完成する、父と息子の物語。

アメリカの体制に反発し、民族の繋がりを何よりも重視し、「ファミリー」という新たな繋がりによって作り上げられた、マフィアという世界。

父のビトーはアメリカへの同化を拒み続け、天涯孤独だった身から、忠誠による主従関係を見事に作り上げてみせた。

息子のマイケルは、兄弟のようにファミリーの幹部になることを拒み、アメリカ軍へ従事し、やがて国の英雄となった。

ビトーという支柱を失ったファミリーを支えたのは、マイケルの覚醒。
1人の男が、ファミリーを背負う決意とともに立ち上がった。

しかし、彼の目に移る景色は父親のそれとは異なり、父が拒み続けた体制への同化に他ならなかった。

「仲間といっても、みなビジネスマンだ。

損得さ。それが根本だ。」

と吐いて捨てるマイケル。
忠誠による主従関係と相容れない資本主義というシステムに身を投じ、やがてはファミリーの繋がりはおろか、血の繋がりまでもを捨て、彼は暗黒世界に孤高に降り立つ。


パート1において半ば神格化されていた「マフィア」の姿を、パート2では冷酷なマイケルの姿を軸に移し崩壊させる。

200分でもまだ足りないと思わせるほどの重厚なドラマに、ただただ没頭しました。
にしても長かったなぁー いくらなんでも肩が凝りましたが、それでも退屈なく観れるのはホント凄い。

パート1における前日譚と、後日譚を同時に描き、より父と子の対比を色濃く描いている。
その中でマイケルの冷酷な立ち回りが丁寧に描かれている。
そして、そこで描かれるのは人間の性。

言葉に出来ないほど混みいった感情の束を押し付けられた感じで、思い出しても心にズンと響くシーンが多い。


ラストシーン、彼の目に移る景色は一体なんなのか?
贖罪か、重圧か、責任か。
自分のアイデンティティを確立させたという事実か。
彼の目は、深く黒く、魂が抜けたような、悲しみの匂いがした。
ウサミ

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