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ゴッドファーザーPART IIのエジャ丼のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
4.4
「巨大な組織を若い新しいゴッドファーザーが受け継いだ・・・」

父ヴィトーの跡を継ぎドンとなったマイケルは、ネバダ州に本拠地を移し圧倒的な権力を手に入れていた。組織の古参ピーター・クレメンザ亡き後、彼のニューヨークの縄張りを受け継いだフランク・ペンタンジェリは、その継承権についてロサト兄弟と揉めており、マイケルに助けを求める。マイケルは事態を大きくさせないためにフランクには我慢するよう伝えが、その晩、何者かによってマイケルは就寝中を襲われた。

1901年に遡る。シチリア島コルレオーネ村の少年ヴィトーは、地元マフィアのドン・チッチオに父母を殺され、運よく難を逃れ移民船に乗り一人アメリカに降り立つ。成長し結婚したヴィトーは長男ソニーにも恵まれるが、地元ギャングのファヌッチによって職を失ってしまう。
2年後、窃盗によって少しづつ生活を豊かにしていったヴィトーはファヌッチに対する復讐を果たし、街での権威を徐々に高め成功に近づいていく。

ドンとして生きるマイケルと、ドンを目指すヴィトーの人生、父と子の真逆の状況を印象的に描く。
五大ファミリーのドンを一掃、ベガスで二大ホテルを経営し、すっかり裏社会の権力を握ったマイケル。全てを手に入れたかのように思われた彼だったが、家族を思っているにも関わらず彼の人生は堕落の一方を辿る。かつては愛し合い、二人の子供を授かったケイだったが、裏社会に住み慣れ、それを自分のものにしていくほど冷酷になっていく彼にはついていけなかった。彼女が愛したのは闇に染まる前のマイケルであり、ドン・コルレオーネとしてのマイケルではなかったのである。

一方ヴィトーの人生は無から始まる。両親を亡くし言葉さえ分からなかったヴィトーだったが、手段はどうであろうと自分の命を紡ぐために行動し、何もないところから絶大な権力を手にいれ、復習までも果たした。

生まれながら豊かさを持った人間と、どん底を経験した人間とではこうも違うのか。権力を自らの手で手に入れたヴィトー、その父の成功を目の前で見て育ち、そのまま継承したマイケルではそれを背負う事は難しい。権力を持つものには責任が生じる。その責任が大きすぎたからこそマイケルは苦労するのである。