マイカウリスマキ

ぼくは歩いてゆくのマイカウリスマキのレビュー・感想・評価

ぼくは歩いてゆく(1998年製作の映画)
4.0
何も悪いことをしていない、ただみんなと同じように学校へ行ったり働きたいだけの男の子なのに両親が出生届を出しておらず戸籍がないために、仕事も学校へも行けない。
それでも家計を支えるために働き口を探し歩き、身分証を取るために役所に何度も足を運ぶ。

観ていてすごく辛いし怒りさえ覚えた。
こんなことあっていいの?!って何度も憤りを感じたし、少年の涙が頭に焼き付く。
そしてこの両親がとことん屑で、揃って薬物中毒。学校へ行けない子供が必死になっていても他人事のようで放置。
薬も子供に買わせるし、仕事をもらうために少年が借りたタイプライターも薬欲しさに勝手に売ってしまう。
「お父さんが働けばいいんだ」って少年が泣きじゃくりながら必死のお願いをしても、考えようともしない。
これがフィクションではなく本当のお話ってのが信じられないし、悔しい。

実はこれ、主人公を演じる少年に実際に起きた話を本人に演じさせてる作品。
なので、主人公もクズ両親も実際の人物が自分達を演じてる。
彼らが演技をしてる時に監督はいきなり質問をしたりして、演技から素になって監督の質問に答えるシーンもたくさんあった。
すごく不思議な手法の作品だったけど、それがなんともリアル。

唯一の救いが、この撮影後に少年は監督の働きで無事に戸籍と名前を手に入れることが出来て、学校へも行けるようになったこと。
両親も薬中のリハビリ施設に入って社会復帰できたらしい。

仕事を求めて街をさ迷ってた少年を監督が偶然見つけて映画化されたこの作品。
この2人が出会って本当に良かった。