てるる

ぼくは歩いてゆくのてるるのレビュー・感想・評価

ぼくは歩いてゆく(1998年製作の映画)
4.0
「存在のない子供たち」の元になったんじゃないかコレ。

ファルハードは9歳の男の子。
両親がヤク中で出生届出さなかったから戸籍が無い。
働かない両親に代わって仕事を探すが、戸籍が無いから雇ってもらえない。
ファルハードがひたすら仕事を得ようと奔走する姿を淡々と映し出す。

存在のない子供たちと同じように毒親すぎて腹が立つ!
それでも親を恨まず、時に強かに大人達に自分を売り込み続ける健気さに心打たれる。

可哀想なのが嘘をつきたくなくても、雇ってもらうために嘘をつき続けて常習みたいになってしまってること。

そして幼くしてオッサンの嫁に出される幼なじみにショックを受けるファルハード。

泣くとかじゃなく、もうファルハードの一生懸命さや肝っ玉のデカさに圧倒された。

この映画、時折インタビューを挟んだりする。
実はこれほとんど役者を使っておらず、本人もヤク中の親も近所の人も自分自身を演じてるとか。
だからたまにモザイクかかってる人がいたりする。

監督がたまたまファルハードが働いてる姿を見て、話を聞いて映画化を決めたそうな。
実際、戸籍が無いから名前もなく、読み書きも出来なかった。

でもこの映画の撮影後、この役名と同じファルハードで戸籍が得られ、学校に通うことも出来、両親も施設で更生して働けるようになったらしい。

そんなところまで存在のない子供たちと共通点がある。
ストーリーとしては存在のない子供たちのほうが完成度は高いけど、こちらはこちらで観る価値がある。
1998年の作品だけど、中東あたりってまだまだ状況が変わってないのかもしれない。

ファルハードはなんとか子供らしい生活を手に入れられたけど、同じような境遇の子供たちはまだまだいるんだろうな。

ビックリしたのが、日本の某有名サッカーアニメが出てくるところ。
イランじゃおしんがとんでもない視聴率を叩き出したことで有名だけど、日本のアニメも結構放送されてるらしい。
少しでも日本の作品が子供たちの癒しになってくれるなら本当に嬉しい。
てるる

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