けーはち

パニッシャーのけーはちのレビュー・感想・評価

パニッシャー(1989年製作の映画)
3.0
妻子をマフィアに殺された警官が悪人絶対殺す復讐鬼と化す。アメコミ原作だが、原作っぽい造型を放棄したので、大体『マッドマックス』みたいな感じになっている。

★原作コミックでは『アメイジング・スパイダーマン』の脇役が初出で、善を成すヒーローに対する狂人じみたアンチヒーローとして提示された。だが、凶悪犯罪が増えた当時のアメリカで多くの読者が共感したのか人気が出て『パニッシャー』の名を冠した作品が出てきた。映画化は幾度かされ、その一番古い版が本作。若いドルフ・ラングレンが細くてカッコ良い。

★最近台頭した日本のヤクザがボスの子供を人質にマフィアの乗っ取りをしかけてくる。パニッシャーからすればマフィアもヤクザも等しく倒すべき悪なので、彼らが潰し合うのを高見の見物していれば良いのだが、ここで子供を助けるため、マフィアと一時共闘。ヤクザを全滅させ、返す刀でマフィアのボスを子供の目前で斃す。子供は怒りに震え、パニッシャーはその銃口の前に立つ。……といった、復讐の連鎖を想起させるビターな余韻。アクションはモッサリしているものの、なかなかの良作となっている。

★そういう辛気臭い話はともかく、本作は日本のヤクザがすごい。何がすごいかって、女組長が出てきて「ウチらはあんた方アメリカ人の先祖が羊を飼っていた頃からアジアを牛耳ってきたんだよ!」とか言い出す。マジかよ、ヤクザすげぇな!!謎の文化を持ち、武芸百般、エコノミック・アニマル、そして機械のように非情。『ニンジャスレイヤー』あたりが意識的にパロディ化した、アメリカでライバル視されていた頃の日本のイメージだ、これこれ、こうでなくっちゃ、と嬉しくすらなってしまう。今の映画も、『キル・ビル』みたいにスカしたヤツじゃなくて、もっとhentaiなボンクラジャパンをどんどん登場させてくれて良いんだ。