ギズモX

パニッシャーのギズモXのレビュー・感想・評価

パニッシャー(1989年製作の映画)
4.1
ドルフラングレン主演の90年代アメコミアクションギャング映画。

今のMCUの雰囲気とはだいぶかけ離れた、ダーク&バイオレンスでちょっと抜けた作風が今となってはむしろ斬新な一品。

アメコミダークヒーローものの鉄板であるクライムノワールとビデオな質感が見事にマッチしていて、特にドルフラングレン演じるパニッシャーの病み具合がなかなかのもの!

マフィアに全てを奪われて、罪人を文字通り処刑していく『パニッシャー』となってしまった彼の目には生気が全く感じられず、暗い地下道の中で己の存在価値を《神》に問い続ける姿は狂気を宿しており、今年公開された『ランボーラストブラッド』のランボーと同じものを感じさせてくれます。

また、本作の物語は敵対勢力の構図も普通のアメコミ作品とは一味違っていて面白い。
パニッシャーが街のマフィア達を始末したことで、とって代わって日本のヤクザが乱入するようになり、そのことによって罪なき子供達が抗争に巻きこまれていくといった闇社会のパワーバランスを思わせる内容であり、クライマックスでパニッシャー達が戦うことになるそのヤクザ達も超個性的な連中で、更に大ボスが特殊能力ナシの冷酷非情な女というのが本当に素晴らしい。

憎悪と哀愁に身を委ねたドルフラングレンの姿がカッコいい良作です。

彼のようなビデオなダークヒーローが再びスクリーンに現れて『ザボーイズ』のセブンみたいな連中共を皆殺しにしてくれないかなあ。

【今も神に尋ねる
 俺の行為が正しいのかと】
ギズモX

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