アタラクシアの猫

炎の人ゴッホのアタラクシアの猫のレビュー・感想・評価

炎の人ゴッホ(1956年製作の映画)
4.1
1956年(昭和31年)制作。
ゴッホの生涯を順に追った決定版。
破滅の人生が成し得た奇跡の筆致。

ゴッホは他の誰かに作風が似てる事は無く、完全に唯一無比!
初期にはバルビゾン派ミレーの影響を色濃く受けて、のちには印象派の仲間達からも影響を受けるが、たどり着いた画風はゴッホにしか描けない、まさにオンリーワンの画家。

日本ではゴッホ=ひまわり、だけど…
ゴッホには代表作が数多くある。

ダメ牧師のゴッホ。
恋に破れるゴッホ。
初期の代表作「馬鈴薯の食卓を囲む」制作。
私も本物を見ました。

弟テオを頼りパリへ。
折しも第一回印象派の展覧会。
モネ、ピサロ、シスレー、ゴーギャン、ルノアール、ドガ、セザンヌ、シニャック、
大いに感嘆するゴッホ。

ピサロに学び、スーラの科学的点描に驚き、タンギー爺さんの店でゴーギャンと邂逅。
※ゴッホのファンは、ゴーギャンを「ゴッホを見放した奴」と嫌いな人が多い。

ゴーギャンとアルルでの共同生活。
あの部屋、あの郵便夫、あの兵隊、あの夜のカフェ、
この映画が素晴らしいのは、ゴッホが描いた人物も室内も風景も、そのモチーフを、そっくり再現してる所。
郵便夫クリソツ!

そして、あの事件…胸が痛い。

サンレミ、医師ガシェ、オーヴェール。
オーヴェールの教会も代表作の1つ。
村役場は、私の敬愛する佐伯祐三も同じ村役場を描いています。

カラスの麦畑。ピストル、目撃者。

ゴッホの死の真相は謎のままで、
近所のガキが自殺した直後にピストルを盗んでいった説、ゴッホの近親者がゴッホの人生を丸ごと捏造した説など、もはやファンタジーの分野。
※来年、公演予定の舞台「さよならソルシエ」は、ゴッホの人生の捏造説を採用。

この映画では麦畑以後、テオとの再会を採用していますが、ゴッホの最後のセリフが素晴らしい。
私、泣いた。

タンギー爺さんの店の壁に浮世絵がズラリと並んでますが、本作ではジャポニズムを愛するゴッホの描写は、残念ながら全てカット
されています。
2015-11-13