ゴン吉

炎の人ゴッホのゴン吉のレビュー・感想・評価

炎の人ゴッホ(1956年製作の映画)
4.0
オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの半生を描いた伝記的作品。  
ヴィンセント・ミネリが監督を務め、 カーク・ダグラスが主演、アンソニー・クイン、ジェームズ・ドナルドらが共演。 

牧師の息子であるフィンセント・ファン・ゴッホ(カーク・ダグラス)はベルギー伝道委員会から伝道師として不適格と判断されるが、懇願によりボリナージュという炭鉱地帯での布教のチャンスをもらう。フィンセントはそこで炭鉱現場の実情を知る。そこでは父親を事故で失った11歳の子供が働いており、大勢の死人が出る過酷な仕事場であった。フィンセントは労働者と同様な生活を始めるが、視察に来た伝道委員会の使者は、伝道師としての威厳を損ねるゴッホの行動に苦言を呈する。そんな折、フィンセントを慕う弟のテオ(ジェームズ・ドナルド)が訪れ、フィンセントは弟と一緒に帰郷する。故郷に戻ったフィンセントは再会した従妹の未亡人に好意を抱き、強引にキスをして拒絶される。失恋したフィンセントは酒場で女性と出会い、彼女の赤ん坊と三人で同居するようになるが、ある日、父の発作の知らせが届き、フィンセントは二人と別れて再び帰郷する。その後、父は他界し、フィンセントは画商の弟から援助を受けながら本格的に絵を描くようになる。印象派絵画展で感動したフィンセントはアルルに転居して、画家のゴーギャン(アンソニー・クイン)をパリから呼び寄せて同居を始める....  

フィンセント・ファン・ゴッホの波乱にとんだ半生を描いた伝記的作品。
前半は強引な性格のフィンセントにイライラさせられ、後半は自らの左耳を切り落とすなど錯乱状態になりハラハラさせられる。
そんなフィンセントに対して陰ながら援助する弟の兄弟愛が心に沁みる。
フィンセントは頑固ではあるが、弟には心を許すので救われる。
太陽の黄金の光に満ちた印象的な画風とは裏腹に、心を病んだフィンセントが対照的で、終盤では錯乱状態のフィンセントに再びイライラさせられ、まさかの結末に驚かされる。
そんなフィンセントが最期に望んだのが自宅での生活で、兄弟の絆に切なくも哀愁が漂う。
「家に帰りたい」 

2025.10 NHK BSで鑑賞(プレミアムシネマ・字幕) 
第29回アカデミー賞で助演男優賞(アンソニー・クイン)  
第14回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(カーク・ダグラス) 
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