みゆ

007/慰めの報酬のみゆのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
3.9
2015.12.02(227)
録画・吹替


NHK BSプレミアムにて。前回と同じく吹替。Mの声優さんが私はちょっとたどたどしくて好みではないな。

ストーリーは完全に前作からの続き物。よって前作を見ていないと分からない部分が多い。従来のシリーズは基本的に一話完結だったので、これも新しく取り入れた方式だろう。これはこれでより続編に対する期待度が増すので良い。

ボートや飛行機での追走劇は過去シリーズでもよく扱われていたが、今作では乗り物と乗り物の距離感がとても近い為にハラハラさ倍増。乗り物と言えばアヴァンタイトルのカーチェイス。やはり過去シリーズを思わせつつも迫力は増していて、映像技術の急成長に改めて舌を巻いた。カーチェイスの果てに崖から落ちていく車というのは、007シリーズで定番化している演出だ。

さて本編。大人の事情で長いこと扱うことが出来なかった"ある組織"の香りをプンプン漂わせる展開。まだはっきりと組織名こそ出てこないものの、一作目から見てきた方は「いよいよくるのか?!」と期待でソワソワ・ウズウズなさっていることだろう。私も期待で落ち着かない。

ピアース・ブロスナンまでのボンドのことを、私は「ボンドさん」とFilmarksのレビューに書いてきた。それはコミカルさや軽快さをボンドが兼ね備えていたから親しみを込めてそう書いてきたのだが、どうもダニエル・クレイグのボンドには「ボンドさん」と呼べない重さがある。それはボンドの内面にも描写が及んでいるからだろう。この新しいボンドも確かに女性好きだが、今迄のようにノリで寝ているような印象は受けない。もちろんその場限りのベッドもあるのだが、そこには彼なりの線引きがあるように見えるし、軽さを感じ得ない。Mとの関係性も重さのひとつだ。

今回は任務に対して、ある意味腹を括ったボンドが描かれている。前作と続編スカイフォールの華やかさに比べるとどうしても地味な印象の本作だが、静かなる決意を固めるボンドの姿というのも、それはそれで味わいがあって良い。

前作でCIAがとった不可解な行動の説明が今作で描かれている。「男はつらいよ」ならぬ「スパイはつらいよ」だね。