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復讐するは我にありのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映画的な演出がとても上手い。どのシーンも見せ方やカメラワークが非常に工夫されており、さり気なく凝った作りになっている。死体の入った戸棚の扉が中々閉まらない、など細かい演出がとても効いている。

あの母娘、特に娘を殺したのが引っかかったのだが、あれは自分の血が繋がった子供が新たに生まれることの恐怖から、なのだろうか。既に子供が二人もいるのでやや説得力に欠ける気がするが。

全体的にしっかりした演出の割に脚本がイマイチ。展開に現実味がなさすぎるし、同じようなシーンも多い。無駄に行ったりきたりする時系列もあまり効果的でなくむしろノイズ。父親の描写は多い割に似たようなシーンばかりで、父親と息子の関係性の描き方も浅いため、ラストの面会にも散骨にも全然カタルシスがない。

捻ったタイトルも悪くないが、もう少しこのタイトルに相応しい描写があるべきだと思う。

緒形拳と三國連太郎は本当に素晴らしい。緒形拳は圧倒的なクズのチンピラ感を醸し出したと思ったら頭の良さそうな先生に見えたり、儚げに見えたり狂気が見えたり、演技の幅が広い。三國連太郎は存在感が凄い。あと倍賞美津子も良かった。未亡人的な不幸感と色気が全開だった。
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