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復讐するは我にありのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.8
昭和38年、西口彰という男が5人の男女を連続して殺害した事件(翌年逮捕・死刑)をもとにした佐木隆三のノンフィクション小説(直木賞受賞作)の映画化。
脚本は馬場当で、監督は今村昌平。

口がうまく詐欺を繰り返してきた榎本巌(緒形拳)は、専売公社の集金人を殺して故郷の九州から逃れ、千葉で老弁護士を殺して金を奪う。
さらに、浜松の曖昧宿(売春宿)「あさの」の女主人ハル(小川真由美)とその母ひさ乃(清川虹子)を明確な動機もなく殺害する…

「あんた、スッとしてるかね、今?
いや。
本当に殺したいやつを殺してねぇんかね。
そうかも知れん。
意気地なしだね、あんた」

「あんたの子供を産みたい」

「来年も再来年も漬けとっじゃろ。オイが死んでもずっとな」

「恨みもなかん人しか殺せん種類たい」

タイトルは、新約聖書の「ローマ人の手紙」の1節から採られている。
他の今村作品同様、人間の心の深層、業を見つめた厳しい作品に仕上がっている。
残酷な暴力(殺人)シーンや過激な性描写が多いため、免疫力が弱いと見るのが辛い。
連続強盗殺人犯の榎津巌を演じた主演の緒形拳、対立する父(鎮雄)役の三國連太郎、その父に想いを寄せる妻(加津子)役の倍賞美津子、巌に溺れる女主人(浅野ハル)役の小川真由美、ハルの母で過去に殺人を犯したひさ乃役の清川虹子…役者の力演が光る。
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