Melko

ザ・エージェントのMelkoのレビュー・感想・評価

ザ・エージェント(1996年製作の映画)
3.7
「これをケンカだと思うか?俺にはコレが”話し合い”だ」

“Unless you love everybody, you can’t sell anybody.”(愛がなければ、売り込みは成功しない)

“If you fuck this up, I’ll kill you.”(あの子を不幸にしたら殺すわよ)

アマプラのウォッチリストに入れっぱなしだったコレ、何気なくチェックしたら今日で見放題終了…!慌てて駆け込み鑑賞。

地上波深夜で放送してた時に一度見てる気がする。前半は既視感のあるシーンばかりだった。でも展開と結末を覚えてなかったようで。

いや〜……こんなに泥臭くてカッコ悪くて何やっても上手くいかない「トム・クルーズ」がいるだろうか。
彼の常套役といえば、何事も鮮やかにスマートにこなし、女をハベらせうまく転がし、あまり子供に縁がない。
この作品で演じたスポーツエージェント ジェリー・マグワイア役は、ほぼその逆。
仕事ができてある程度リッチなところは似てるけど、それはこの作品では冒頭の10分ぐらいのみ。あとの120分は、ずーっと何にもうまくいかないめちゃくちゃカッコ悪いトム様のオンパレード。
追い込まれて汗ダラダラだし、情けなくて泣くし、ブチ切れて怒鳴る。めちゃくちゃカッコ悪い。見てられない笑
でも、それが非常に人間味があり、「あ、トム様も人間だったんだな」と思えるというか笑
いつも超人的な役してるからかな。笑

今回はしかも華やかな舞台へ人を売り込む「裏方」の役
地味かと思いきや、そこはいつも通り得意のキラリンスマイルとマシンガントークでトム様節を思う存分効かせる。

彼の元へ唯一残った黒人アメフト選手ロッド
キャーキャーうるさい自信家だけど、人間(というかジェリー)の本質を見抜いてるような人
年俸170万ドルから、1000万プレーヤーを目指す
喧嘩ばかりの選手とエージェント、ぶつかってばかりの二人三脚、終盤の抱擁は思わずグッときた。

ジェリーが恋するシンママ ドロシー
啖呵切って会社を辞めたジェリーに唯一付いてきた経理係
レネー・セルヴィガーの顔ってどうも私は魅力があまりよく分からず…でも、横顔がすごく素敵に見えるということを今回発見した。
きっと、寂しいからそばに誰かいてほしいんだろう、そんなのズルいよジェリー、って私もずっと思ってた。だからドロシーが泣いて別れを切り出す気持ちもわかる。
恋に恋する、ではなくて、どんな時も息子を中心に考えてる感が伝わってきて、そこはレネー流石だなと思った。
終盤でのジェリーの改めての告白、飾らないまっすぐな気持ちが聞きたいんです、女は。よくやった◎

そんでMVPはそんなドロシーの一人息子レイ役を演じたジョナサン・リップニッキだと思う!スチュアートリトルの子がもっと小さかった頃、こんな役もやってたんだなあ。トム様相手にあの立ち回り、自然な演技、凄い!

あのムカつく元後輩もサディスティックな元彼女も、もう少しギャフンと言わせても良かったのになぁ。
まあ怒りや憎しみは煩悩か。捨て去り次のステージへ。

「ハートが空なら、頭も役に立たん」
Melko

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