悪魔の毒々クチビル

美女と液体人間の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

美女と液体人間(1958年製作の映画)
3.4
1958年製作ということでね、50年代の映画を観るのは結構久々でした。

タイトルやジャケからして、「ヒロインに執着するストーカーが何らかの理由で液体化して更に厄介になる」みたいな内容かと思ったら全然違ったでござる。
今作の液体人間は、液状化すると全く別の生命体になるようで。
この液状化した部分や、実体を現した液体人間に少しでも触れると跡形もなく溶けてしまうのですが、もうかなり昔の作品なのに意外と溶解シーンに違和感が無かったのが凄い。
実体化した姿も思っていたのと違いましたが、全身緑色で人の形をしているも何処か蜃気楼の様に曖昧な見た目が個性的でかなり不気味で良いじゃない。

最初は液体人間の存在を信じる事が出来ない刑事も、科学者の友人の力説や実際に彼らの姿を目にすることによって存在を確信し、地味に人類規模の話に発展していく流れも個人的に結構好き。
あ、ヒロインは事あるごとに貧血を起こして倒れているのと、歌が上手いなぁってくらいの印象でした。

ただ一方で普通にギャングを探っていく調査パートがかなり長めなので、そこまでホラー映画らしい展開にはならなかったのが残念でした。
漂流船での回想シーンが一番ホラーしていたっていうね。あそこは中々良かったです。
終盤の一掃作戦も攻撃は有効でしたが、あの実験室で明確な弱点を見つけてからの方が良かったんじゃないかな。

もうちょっとホラーな雰囲気があればなぁと、そこは勿体なかったのですがこの時代だからこその液体人間の見た目等、独特な要素もちゃんとある''残る''作品だったと思います。


劇中で刑事がヒロインを取り調べるシーンで、「月5~6万も稼げればそりゃテレビも買えるわな」みたいな事を言っていて不意に出てきた当時と現代の物価のギャップに分かっていても一瞬「!?」ってなっちゃいました。