Hagieen

セデック・バレ 第二部 虹の橋のHagieenのレビュー・感想・評価

3.8
台湾は峻険な山岳地帯を有し、それ故に狭い国土の中でも多数の原住民族が暮らしている。地政学的にも行き来は難しく、それ故に細かく分裂しているのだと思う。
そういった多数の原住民族がいる状況で対立も多かったようで、映画で描かれるセデック族は首狩り族でもあった。
セデック族の文化・風習として、首狩りが成人の儀となっている。
そしていずれ死す時は大人として虹の橋を渡ってあの世に行く、そういった死生観の世界だ。

日本統治下になって首狩りは野蛮なモノとされ禁止となる。
セデック族としては成人になれず、虹の橋を渡る事もできない、となる。
文化・風習は重要で守るべきと思う一方、こういった首狩りは統治側からは認められない。現代の台湾人の尺度から言っても同様だと思う。
統治者だった日本はどうすれば良かったか、文化・風習からくる差別に対してどう問題解決すべきか。そういう問いがテーマなんだと思う。

台湾好きであちこち旅で回っているが、車で映画の舞台となった霧社を通り過ぎたことがある。車移動でも大変な山岳地帯なのに、その山々で隔離された各部族の対立や、山々を移動していた原住民の脚力が相当なモノというのは、現場に行ったからこそ想像できる部分もある。
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