だい

アルファヴィルのだいのネタバレレビュー・内容・結末

アルファヴィル(1965年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ゴダールがSF?
と、
ミスマッチを感じながら観てみる。


良い!!!!!!!

ゴダールの小難しい性格と、
哲学メインのディストピア世界観が合うんだなこれが。


このクレイジーすぎるビザール的絵作りって、
後のファスビンダーの「あやつり糸の世界」とかが影響受けてそう。
でも建築物とTVだけはほとんど1960年代当時のままなの、
そこまでやってられるか感あって好き。
ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」とかのほうがむしろ建築物の未来感ある。



極度に観念的なSFのせいもあって、
現代SFほど世界観を入念に練り込んでいない感はね、あるんですよ。

泣くや笑うといった感情が、
それは論理的不合理なものとして犯罪とされる社会の中、
でも怒ってるやついるけどそれはOKなん?とか、
やたらと女性を観賞用にショーケースに入れてたりするけど、
美を感じる心は認められてるの?とか、
そもそもじゃあ誘惑婦は何のためにいるの?とか。

過去と未来を考えることは不要で、
限りなく現在を生きろという哲学だけど、
でも歴史的なものとかはともかく、
近い過去や近い未来って思考と不可分なものだよね?とか。
だって、誘惑婦が「部屋に戻ったらすぐに休みますか?」
ってのも、少なくとも近しい未来を思考してるわけで。
とかとか。


そんな風にいろいろ考えちゃうから、
こういう面倒くさい作品が大好きなのだ。

映画は、考えるためにあるからな。



コンピュータが、人間の意思を無視して社会を支配する、
いわゆるシンギュラリティによる未来がテーマなのって、
最近ではよくあるけど、当時としてはたぶん先進的よね。

都市のマザーコンピュータのシンギュラリティ的暴走って、
ボトムズのワイズマンとか、
ファミコンのデッドゾーンのライオネックスとか、
やっぱりみんな好きなモチーフ。

ただ、
テレパシー的な伝達までできるくせに、
技師がプリンターで印刷して情報読まなきゃいけないの草。
液晶ディスプレイは当時じゃまだ思いつかなかったか…


最後、
α60が崩壊した後に壁に張り付く女性たちの絵面めっちゃ好き笑
思念の磁場が狂った?
何も説明ないから勝手にそう解釈したけど、
そうだとて結局答えにはなっていない。

でも、
「すんげーことが起こってるな!!」
そんくらいで、いいのだ。
だい

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