KnightsofOdessa

アルファヴィルのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アルファヴィル(1965年製作の映画)
4.9
No.439[詩でコンピューターを破壊するゴダールのセンス] 99点

想い出記録。今年のカンヌ映画祭ではゴダールの新作「The Image Book」の扱いに困ったらしく、特別パルムドールという謎の賞を新設して受賞させた。これによって、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ミケランジェロ・アントニオーニ、ロバート・アルトマンに次いで4人目の三大映画祭最高賞覇者となった。ゴダールといえば一見さんお断り・一般人お断りのイメージが強く実際もそうなのだが、たまに私のような馬鹿な一般人でも理解できる映画を作ってくれる。それが、本作品である。ちなみに、本作品はベルリンで金熊を受賞している。

秘密諜報員レミー・コーションが人工知能アルファ60で支配された近未来都市アルファヴィルにやってきた。アルファ60の設計者フォン・ブラウンを逮捕または殺害し、コンピューターを破壊する命を受けて。先に来ていたエージェントは役に立たず、普通のことを考えただけで処刑される完全に規格化された社会で、フォン・ブラウンの娘は愛を知らない。単語さえも。この後色々あって(よく覚えていない)、レミー・コーションはアルファ60を破壊することに成功する。コンピューターに詩をインプットすることで。その発想が実に美しい。人間が生み出した最も無機的な恐怖の産物を人間が生み出した最も耽美的で味わい深い産物で破壊する。これだけでも、ゴダールを尊敬しようと思う。

未来都市が舞台なのだが、近未来のセットを立てるのではなく、当時のパリのネオンサインや無機質な建物を利用して自身の持つ未来像を構築している。流石ゴダール、視点が違う。未来感に逆行したモノクロの撮影も美しいし、逆にカラーにする必要性を感じない。なんでもカラーにしていた時代への反抗なのか。

やはり、映画監督には撮るべきミューズという存在が必要だと思う。
この頃のゴダールとカリーナは円熟期から破滅期の間の過渡期であると想像され、離婚する直前の最も美しい時代に撮られた本作品と「気狂いピエロ」は映画史に残る傑作だろう。ゴダール映画はショットの美しさとエネルギー量が並の映画とは比較できないくらい凄まじいのだが、それは本作品でも顕在で、特に、マヤ・デレンの「午後の網目」の名シーンを模したシーンがあるのだが、このためにモノクロで撮ったのではないかと思うほど美しいシーンとなっている。

それにしても、詩でパソコンを破壊するなんて、どうやって思いついたのだろうか。