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ブルース・ブラザースのryosukeのレビュー・感想・評価

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)
4.0
映画としてどうというより、とにかく楽しい場面を連発すればよいというスタンスのショーという感じだった。黒人音楽の素養があれば豪華出演者に興奮できてもっと楽しいんだろうな。
刑務所の門から漏れ出す夕焼けの光に照らされながら出所してくるジェイク。クールなオープニング。ジェームズ・ブラウンのソウルフルなアーメンから始まる狂騒により神秘的な光を見た二人の異常な珍道中。まあ見てしまったのだからしょうがない。
良い意味で幼稚な妄想、これが出来たら楽しいだろうなという凶行を存分に見せていく。散々無駄な動きを繰り出しながらショッピングモールを車で破壊し(劇伴に合わせて落下するドラムセット)、付近を引っ切りなしに列車が通行するホテルの玄関にバズーカを打ち込み、発破で瓦礫の山にする。
イリノイ・ナチを川に突き落とすことで、犯罪のオンパレードを見せ付ける二人組に強引に主人公としての正当性を与える。ナチズムって便利ね。黒人音楽へのオマージュに溢れた本作の敵役にレイシストを選ぶのは自然だろうし、白人音楽たるカントリーミュージックのバンドvs主人公たちの構図も当然だろう。
アレサ・フランクリンのシーンなんてめちゃ素敵なんだけど、このシーンが一番アフレコ丸出しに見えるのがちょっと勿体無い。
全身黒ずくめの二人組には忍び足が似合う。敵を出し抜き到着した会場のパフォーマンスはいやーエンターテイナー...という感じ。
散々命を狙われても何故かスルーしてきた女は、ついにサングラスを外すことで撃退する。ジェイク、素顔結構可愛いな。
パトカーをたくさんスクラップにすると楽しいという素朴な気持ちが感じられる良いカーチェイス。イリノイ・ナチとの対決で、ヒトラーが愛聴したワーグナーの「ワルキューレの騎行」が流れるのはある意味「地獄の黙示録」以上に完全に正しい使い方。落ちていく真っ赤な車。死に際に同性愛者であることを告白するのも、ナチが同性愛者を排斥していたことを考えると趣深い。
これだけ反権力的、反社会的な騒擾事件を引き起こす二人の目的が「納税」なのは可笑しいな。5分待てという張り紙は、レストランのシーンで、ミスター・ファビュラスが電話に対し5分待てと言ったことを思い出させるが、主人公たちはちゃんと目的を果たすことができる。
これまた、これ以上なく正しい“Jailhouse Rock”が流れる中でのカーテンコール。
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