桃子

ミザリーの桃子のレビュー・感想・評価

ミザリー(1990年製作の映画)
4.5
「グッジョブ」

芸能人とか芸術家や音楽家、あるいは小説家など、生きていく上でファンという存在が欠かせない立場の人間にとって、ファンは両刃の剣になることがわかる映画である。熱狂的かつ狂信的かつ残虐で自己中なファンに酷い目に遭わされる小説家の物語だが、主人公が小説家ということで原作者であるスティーヴン・キングの体験談も少しは入っているのかなあと想像してしまった。
ウルトラ超絶サイコなファンを演じているのは、この映画でアカデミー主演女優賞をゲットしたキャシー・ベイツである。後にも先にも賞をもらったのはこの映画のこの役だけなので、文字通り彼女の代表作となった。見れば納得する。ほんと~~~にコワイ。ホラー映画をよく見て感じる「一番コワイのはお化けではなくて人間」を地で行っている。最初はやんわりと優しく、だんだんと違和感を醸していき、ラスト近くは常軌を逸したモンスターぶりを発揮する。この演技を見るだけでも一見の価値がある。
一方、人気作家ポール・シェルダンを演じているのはジェームズ・カーンである。私はすぐに「ゴッド・ファーザー」のソニーを思い出した。現在はもう81歳。まだまだ現役で俳優さんをしているようである。お元気で何より(^^) ちなみに、ロブ・ライナー監督の談によると、ポールの役を見つけるのは苦労したそうである。主人公は足の怪我をして、ストーリーのほぼ最初から最後までベッドにしばられている状態という役柄なので、著名な俳優さんからことごとくオファーを断られたそうである。でしょうねえ。カーンはよくOKしたものだ。グッジョブ!どんな役でも引き受けるというのも、一種の才能なのかもしれない。
桃子

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