海鮮丼残り2個

ミザリーの海鮮丼残り2個のレビュー・感想・評価

ミザリー(1990年製作の映画)
4.0
スティーブン・キングの人気長編小説を映画化したもの。
ちょいちょい記憶違いをしてしまいがちだが「ミザリー」というのは主人公ポールが書いていた人気小説のシリーズタイトルであり、あの怖い斧おばさんの名前では無い。
(おばさんの名前はアニー。こうした誤解を生んだのは少年ジャンプに連載していた『アウターゾーン』の影響もあると思われる)
愛が狂気へと変わっていく恐怖をジワジワと描いた名作。
アニー役の女優キャシー・ベイツが大ハマリで、この作品を実写化するために生まれてこられたのでは無いかと思えるほど素晴らしい。
盲目的な恋心は美人が抱けばそれは「一途」と称賛されるが、キャシーのようなだらしない見た目の人間が抱けば「ストーカー」と法で裁かれるレベルに叩かれてしまう。

漫才の中で適当につけた登場人物の名前「みちこ」に対し「あれ私のことですよね?」とファンレターをいただいたことがある。
無視をしていると「私の事をテレビで笑い者にしないで」
さらに無視していればエスカレートし「私が本屋で立ち読みしてる時に思いついたことを全て漫才にしていますよね。脳をのぞかないでください」ときた。

ラジオ終わりにタクシーをとめて、乗り込もうと思ったら黒い影が車内に入っていった。
中を見れば真っ白に化粧したオンナが「こんばんわ、ミチコです」と後部座席からこちらに微笑みかけていた。

恐ろしくて立ち尽くしていた僕の手をミチコは細く冷たい手で引きづりこみ「すいません、よかったら一緒に乗りますか?」と言った。

「わあ!」と声をあげ、僕は急いで手を引いた。

手を引いた時、ミチコの胸元に僕の肘が当たった。
手の細さからは想像していたよりふくよかなそれは、僕の肘から直接下半身にあたたかさを流した。

ほどなくしてタクシーは走り出したが、僕は肘に残されたピンク色のあたたかさを逆の手でさすりながら、レンタルビデオ屋に行って細身の女性が喪服姿で奉仕するビデオを借りた。若さというのは強い。


とにかく自分の愛が強すぎるあまり他人が見えなくなることはいかに愚かで恐ろしいかということだ。

新幹線の中で豚まんを食べるやつも同じだと思う。
「人に迷惑をかけてまで、自分の欲求を満たしたいやつ」なのだ。
自分さえよければ、自分さえ幸せになれればいい。

喫煙コーナーで豚まん食え。

思い出した、喪服で奉仕していた女優は氷高小夜さんだったな。

この方もキャシーベイツに負けないほどの名女優であった。