ぽち

太陽を盗んだ男のぽちのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
3.9
バブルに向かう昭和のパワフルさが感じられる魅力的な作品。
脚本のアイディアが素晴らしく、また演じた沢田のカリスマ性もあり、この二つだけでも観る価値がある。

原爆製作過程やプルトニウム強奪等にツッコミ所があるものの、それっぽさを演出していて上手く騙してくれる。
城戸の生い立ちや犯行動機を全て切り捨てたのがプラスに働き、キャラクターの魅力になっている。

クーラーなど考えられない露骨なプロダクト・プレイスメントは資金難のため?
「製作費は3億7000万円で始まったが、スタート時から1億7000万円足りなかった」そうなのであながち間違いではないだろう。

個人的にこのオチが大好きで、みんな助かってハッピーと言う予定調和をぶち壊しているところも、城戸の「無」にちかい心の描写も素晴らしく、余韻を楽しめる。
今リメイクしたらエンターテイメントとしては良い物が出来そうだが、今作の持っている味わいは多分出せないだろう。

小津、黒澤以外に外国に出して恥ずかしくない数少ない邦画の一本。

余談。
ラジオ番組でカルメン・マキ & OZの「私は風」が流れるが聴いた事の無いバージョンで、映画用に録ったのかと思ったが、調べてみるとシングルバージョンだった。CDでは発売されていないがネット上には残っていた。

アルバムだと14分の大作だがシングルだと4分弱。濃縮したようなアレンジはアリだと思ったが、演奏と歌がイマイチ。
資料によれば解散後の翌年78年の発売らしい。もしかしたらメンバーが違うのかも・・・・・・
ぽち

ぽち