課長とヒロシ

太陽を盗んだ男の課長とヒロシのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.2
ヒロシ(以下ヒ):沢田研二さんと菅原文太さん主演によるサスペンス映画、監督は本作とデビュー作の『青春の殺人者』がいずれも高い評価を受けながら、その後作品を発表せず、「最も続編が期待される監督」と長らく言われていた長谷川和彦さんです

課長(以下課):長谷川氏は今村昌平氏の弟子で相米慎二氏の師匠というレジェンドだが、Wikipediaなどによるとかなりの武闘派のようで、内田裕也氏とか、原田芳雄氏とか、井筒和幸監督とか、出会ったら直立不動になってしまいそうなご歴々のお一人だ。この作品も、そんな「なんだかよくわからんがひたすらにアツい」空気が流れてて良かったぞ。特にラスト30分がな

ヒ:中学校の理科教師が原発からプルトニウムを盗んで、アパートで原爆を完成させるというトンでもないお話ですが、150分という長尺のなかで犯人とそれを追う刑事という2人の人物像をしっかり描ききってますので、非常に物語に入り込みやすいですよね

課:冒頭1時間でプルトニウムから原爆を作る過程、次の1時間で完成した原爆を使った脅迫と警察の捜査というように、テーマがしっかりしてるからわかりやすいよな。そしてラスト30分はまさに圧巻だ!

ヒ:だいたい2時間でストーリーはほぼ終わってるんですが、そこからの粘りが凄いですよね!(笑)

課:通常の作品ならカンペキに「蛇足」なんだが、その箇所を冒頭に言った「なんだかよくわからんがアツい」シーンに変えてしまうのが、監督の力量と、役者の気合いだよなー

ヒ:沢田研二さんも、菅原文太さんも凄かったです!

課:中性的で無責任な現代の若者といったジュリーと、硬派で責任感の強い昭和の頑固親父といった文太兄貴との対比が際立ってたよな!『騙し絵の牙』のとこでも言ったが、「作品の中で提示したキャラクターを最後まで描き切る」ってことが大切だと思ったわ

ヒ:『騙し絵〜』では最後の最後でそれまでの作品中の役のイメージを覆した、バラエティの大泉洋さんを描いてしまいました

課:観てる側が作中のキャラクターにのめり込めば、のめり込むほど、そのイメージを裏切られた時に冷めちゃうからな。そういう意味では、最後までジュリーは理科教師の城戸誠であり、文太兄貴は警視庁の山下警部だった。そこが良かったぞ!

ヒ:ラストシーンも含めて今の日本映画では作れないんじゃないかと思ってしまうような熱量を持った作品です!オススメですよー!

ストーリー 4
キャラクター5
世界観   4
演出・演技 5
音楽    3
祝!ローリングストーンズ日本公演!?度99
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