カテリーナ

太陽を盗んだ男のカテリーナのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
4.2
中学の教師がプルトニウムを盗み
自力で原爆を製造してしまう話
淡々としてるが何かに突き動かされている
主人公が不気味
取り憑かれたように着実に完成に近づいていく過程を台詞無しで演じる本業は歌手の沢田研二
当時(1970年代)の中学校の教師にしてはあり得ない肩まで伸びた髪に綺麗にスタイリングされたヘアスタイルが妙に浮いている 多分その当時の先生って七三分けが大半でしょう
リアリティより見た目を重視するのは
本人の意向なのか?映画出演の前に
アイドルだからなのか?
その辺もう少し何とかして欲しかった

でも破天荒な教師として敢えて長髪のままにしたともとれる演出がある
生徒の見てる前でターザンの真似しながら
紐にぶら下がり例の雄叫びを絶叫する場面が唐突にある これは後半の警察との絡みの伏線であった事が後でわかった
しかし、随分と雑な繋ぎでない?

破天荒、荒唐無稽ならラジオのDJ
をしている池上季実子も同じ
細かい事は気にしない大胆発言連発で傍らのプロデューサーらしき人物がやきもきしているのが滑稽 教師とDJなんて組み合わせ
現実には考えられないが、運命の糸に引き寄せられるふたり

完成した原爆で警察を脅し
「ナイターのプロ野球の試合を最後まで放送させろ」と要求する城戸(沢田研二)
そのほかの要求もクスクス笑ってしまう
「ローリングストーンズを来日させて武道館でコンサートを開く」とか
デパートの屋上から札束をばら撒けとか
そもそも城戸自身が何かを要求したくて
原爆を製造したのでは無いって設定が
凄い!大変なもの作っちゃったからなんでも言う事聞きやがれって感じ
沢井(池上季実子)に「俺どうしたらいいかわからないんだよ」と呟く場面があって驚いた 城戸にとっては原爆を製造する事だけが目的なのか、あるいは、欲がないのか?
絶対的な脅威となる原爆を自らの手で産みだし世界を意のままにする事が可能な筈なのに城戸の視線は空を彷徨っている
あても無く繁華街を歩く
可愛がっていた仔猫が誤って自分の作り出した恐ろしい粉を舐めてしまうその死を悲しむ癖に大勢の人間の命は彼にとっては軽いもの この感覚 城戸という人間性の
恐ろしさ
しかし、おもちゃを取られでダダを捏ねる子供のように城戸を追ってきた警部の山下(菅原文太)と原爆をめぐっての死闘その後のラストシーンは今ならあり得ない結末ではないか?
この幕引きと共に今作を名作に押し上げた
のだと確信した。