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メメントのRのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.5
10分しか記憶を保持することができないというとんでもない障害を持つ男が、殺された妻の復讐を果たそうとするストーリー。妻が殺されたことを契機にその障害が起こり始めたので、それまでのことははっきり覚えているが、以後は10分前の記憶しかない。じゃあ、何も記憶できない人がどうやって妻の復讐を果たそうというのか。ひたすらメモです。10分以内に起こる重要なことは忘れずメモする、そして、最重要なものはタトゥで体に刻みつける。このシステムで完璧に自らを統御しているレナードが、復讐を果たし終えたところからストーリーが始まり、そこから10分ごとに時間が逆戻りしていく、という異様な構成になっている。その10分の間は普通の時間の流れ、つまり現在→未来へと流れるんやけど、それが終わったら、ピョンとそのさらに前の10分に戻る。すると、レナードは、あれ?オレいま何してるんやっけ?ってなって、見てるこっちも、同時に、ん?コイツいま何してんの?ってなる。ただ、当然のことながら、レナードと我々が違うのは、我々は未来に起こることは分かっているので、過去、どういう経緯で犯人探しが行われ、どう最終的な復讐の完遂につながっていったか、その経過がミステリーとなり、殺されたヤツが誰なのか、誰にどのように助けてもらったのか、などが少しずつ明らかになっていく。まー、これがとんでもなくややこしい。時間軸が過去に戻っていくってことは、とにかく見てる間は何が起こってるのかさっぱりわからない。それが、あとでそーいうことか!とわかる。だから、何だかよくわからない現象をひたすらにできるだけ記憶しておかなければならない。が、脈絡のない現象をうまく覚えておくことは、普通の人間にはできない。しかも! さらにややこいのは、10分時間が過ぎるごとに、レナードが誰かと電話で、その病気を説明してる白黒のシーンも挿入されるんやけど、こっちは普通の時間軸どおりに進んでいってる。混乱ますます深まる。が、徐々に、ぼんやりと、とんでもないことが起こっていることがわかってきて、最後はえええええええええええええ!驚愕のエンディングが待っているのです。しかし、実はこの感想文を書くまでに、本作すでに4回見まして、1回目はねむいときに見て、さっぱり意味がわからず、わけわからんわ!と憤慨。2回目はフル覚醒で見て全体的に意味がわかり驚愕、だが、細かいところがうまくつながらない。3回目、さらに納得が深まるが、レナードの周りの人物の動機がこんがらがってもうひと息というところ。4回目、ほぼ全部がクッキリ。ほんま複雑すぎて、これを映画として成功作と呼んでよいのかどうか。と思いつつも、見てる間はものすごくスリリングでおもしろいし、全体のムードも、ダーク&クールかつドライなミステリアスさが漂ってていい感じ。あと音楽がめちゃめちゃよかった。何だかんだでまた後日見直したいなという気すらしている。オレはこの映画が好きなのか。いや、好きではない。いや、好きなのかもしれない。わからない。そんな映画。
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