Netflixで鑑賞。
"独特な世界観、初めて観る時衝撃を覚える"
とだけ聞いていて、ずっと気になっていた"クリストファー・ノーラン監督"の作品です。
確かに衝撃的かつ難解でしたね。
彼の記憶は10分間しか持たない。
古い記憶は有っても、あの忌まわしい事件の後遺症の為新しい記憶は10分が限界で跡形もなく消えてゆく…。
まるで砂に書いた文字の様に跡形も無く消えて行く。
だから彼は丁寧にメモを取る。
身体に刻み付ければ消える事無く確かな記録となるから。
記憶の代わりに写真を撮る。
瞳に焼き付けた筈の顔が、風景が、出来事が、輪郭を失い消えて行くから。
切り取られた10分間の曖昧な記憶を、
確かな記録を伝って真実へと遡る。
何度も何度も丁寧に‥‥。
曖昧な記憶を辿って重ねて、
どれが真実かも分からなくなる程に…。
自分はいったい…?
バックリバース、記憶の逆回転。
真実は一体…?
観せ方が斬新でお洒落で、
オープニングの写真を振る度消えて行くフィルム画像シーンから惹きつけられます。
何回観ても真実への道が見えなくて、
レナードの記憶の迷路の様に靄がかかって出口が見当たらず、
何度も何度も入り口に引き戻されてしまう様でした。
人の記憶なんて曖昧で、
時と共に改ざんされたり無意識に都合のいいストーリーへと作り変えていたりするものです。
確かな記録ですら、記憶の伴わない記録が果たして正解なのかは分からず、
推測、不確かな情報でしか無いものです。
レナードの戸惑いながらも足掻き、
与えられた記録の足跡を辿る10分間の積み重ねと、
靄を振り払い真実へ辿り着こうとする執念の終わりの見えない物語だと思いました。
印象的で何故か何度も観たくなる様な不思議な魅力のある作品でした。