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メメントのgonzaのネタバレレビュー・内容・結末

メメント(2000年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

一日に同じ映画を三度観る事があっただろうか?
ぼくにとってこの『メメント』がそうだ。

最初にこの映画を観た感想…はっきり言って訳が解らなかった。
が、何回も観ると頭の中で物語を組み立て慣れて観る事が出来た。
この映画の素晴らしいと感じた所は「答えが存在しない」という点だ。
10人この映画を観れば、10人が違う答え、感想を言うのだ。
そんな映画は世界中探してもこの『メメント』だけだろう。

あらすじを言うと、10分しか記憶のできない男が妻を殺した犯人を追跡するというストーリーだ。
そのため男(レナード)の身体には重要なヒントの刺青だらけで、生活にはメモが欠かせない。

物語はいきなり警官が拳銃に撃たれるシーンから始まる。
そこからまるでビデオの巻き戻しのようにシーンが『逆回転』してゆく。
つまり、どういう経緯でこの警官が死んでしまったのかを記してゆくのだ。

一言だけ言わせてもらうとこの主人公、メチャメチャカッコいい!
なにがカッコいいかと言うと、その生き様である。
この主人公・レナードは記憶が出来ない。
が、身体には次の行動を刻み込まれている。
それは嘘かも知れない。誰かの罠かも知れない。
だがそれを疑わず、信じて行動を起こすこの一点だ。
『生きる目的』を失うことなく生きてきたその一点に美しさすら感じる。

「目を閉じたって世界が消えてなくなるわけじゃない」

解らないなら自分を信じるしかない。

ストーリーもアイデアが散りばめられていて楽しい。
自分が追われていることを忘れてシャワーを浴びだしたり、
唾の入った飲み物を飲み干したりと、とぼけたシーンも多い。

ワンシーンも見逃せない、ノーラン監督の傑作!
この精神は『フォロイング』から始まり、
『インソムニア』でも『バットマン・ビギンズ』にでもなく、
『プレステージ』に受け継がれている。

自分の心を救うために。
誰も彼を責める事は出来ない。

このレナードくらい自分を信じて生きていたいものである。
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