世界最古とされるショーヴェ洞窟（南フランス）の内部を、高解像度のカメラで撮影している、ドキュメンタリー作品。元々はヘルツォーク自身のナレーション付きなのだが、3D上映の都合により日本語吹き替えでの公開となった。
1994年の発見当時、洞窟の入口は完全に塞がれた状態であり、洞窟内の時間が旧石器時代からストップしたままになっていたという。その後、研究者専用の狭い通路が設置されたが、一般公開は不可能。研究者ですら洞窟内に触れることは禁止されている。
古代遺跡を映像に収めようとする技術者のシークエンスと、内部の映像を些細に観察しながら古代ロマンを追い求めていくシークエンス。その両方の側面から楽しむための、学術エンターテインメント作品。
研究者のロマンチシズムに辟易させられるが、言語版ではヘルツォークが研究者の推測にツッコミを入れるため、ウィットな笑いに浸ることができる。そして、クライマックスの淡々と壁画を写し込んでいく演出に、形容しがたい神秘性が感じられる。
