半兵衛

実録外伝 大阪電撃作戦の半兵衛のレビュー・感想・評価

実録外伝 大阪電撃作戦(1976年製作の映画)
4.0
どんなときでもしぶとく生きることを選択してきた中島貞夫監督&松方弘樹コンビが、それをかなぐり捨てて意地と誇りのために破滅へと突き進む姿に涙。そこに凶暴なチンピラ渡瀬恒彦が加わっているのも熱い。

一方でこの作品は、室田日出男などを通してどんなに破滅への願望があっても権力に妥協して生きていくことを選択する姿を描くことで破滅への道を歩む難しさが一層伝わってくる。大抵の人たちもそういう生き方を選択しているはずで、だからこそ松方の生き方が際立つ。

松方が情婦の片桐夕子に対して一瞬見せる自分のどうしようもない立場を苦笑いするかのような微笑と、凄惨な暴力を繰り広げる成田三樹夫と目黒祐樹に対して彼らを睨み付けているようでその奥にあるもっと理不尽な権力へ怒りをぶつけるような松方弘樹の目が他のチンピラ映画にはない深みを加えている。

でもオールスター映画と銘打っているわりに、全体的に地味な印象になっているのは何故なのだろうか。実録のスター菅原文太の不在や、ドライな作風が影響しているからなのか。

ピラニア軍団をはじめ個性のある俳優陣が続々出てくるなかで、渡瀬恒彦と一緒に大組織に最後まで立ち向かう三上寛が儲け役。あと燃えるタイヤの煙をガチで嗅がされた片桐竜次は本当に大丈夫だったのだろうか。
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