しちれゆ

天国と地獄のしちれゆのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
3.6
日本映画史に燦然と輝く不朽の名作であります。1963年作品。モノクロ。今見ると古臭い感じは否めない。けれど、それを含めて黒澤明監督の世界を堪能しました。

横浜・浅間台のお屋敷の息子の誘拐事件を巡っての話。戦後の横浜は主要地域を悉く米軍に接収され、かつての繁華街には蒲鉾兵舎が立ち並び周辺にはスラムが形成されていったのだが、本作にはそのスラムの最たる街 日の出町が登場する。そこはヒロポン中毒者の巣窟であり、誘拐犯竹内(若き日の山崎努)は安価なヒロポンを常用している中毒者に高純度のヒロポンを摂取させる実験をやってみるのです。麻薬中毒者の役で菅井きんも。終戦直後はヒロポンは合法で、疲労回復薬として堂々と薬局で売られていたというのが恐ろしい(因みに太宰治もヒロポン中毒であった)。

本作は1963年に公開され興行収入は4億6000万を超えたという。当時の封切館の大人料金は300円だったというから大ヒットだったのかな…?

正直に言うと世界のクロサワのことはあまり良く知らなくて、この作品も始まってかなりの間、どれが三船敏郎なのかも分からなかった…皆 背広で七三系でモノクロだったせいもあり(←言い訳)。
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