広島カップ

天国と地獄の広島カップのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.5
ローテク時代の息詰まる犯人追跡劇です。
ITによるハイテク捜査に慣れている昨今の観客には、捜索の速さに所々隙間が空いていてテンポが合わない人もいるかも知れません。スマホやPCやネットが登場しないと色々面倒臭いけど、何というか“気が楽“です。やたらと電話の場面が出てきますが、ワイヤードのため電話の在るところにわざわざ行かないとなりませんよね。
犯人捜査も身体にものをいわせてます。正に“汗をかく“、“靴底を減らす“、“直感も信じる“というヒューマン・メイドなところがいいですね。ただ「太陽にほえろ」方式に刑事を無駄走りさせて無いところはさすがです。
誘拐犯の標的にされた三船敏郎演じる権藤さんが頑固な職人気質というのも脚本の上手いところです。
靴職人として腕一本でコツコツ築いた財を卑劣な誘拐という手段で手に入れようとする犯人。身代金と引き換えになるのが、まじめに築いてきた人生。権藤さんの苦悩に、観客は見事に引っ張られます。脚本の見事さです。