鮃サブロウ太

天国と地獄の鮃サブロウ太のレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.7
実に男臭い硬派な映画で色気なし。でも何とも魅力的で、観る度に引き込まれ、唸ってしまう。
大まかにいうと前半は事件編、後半は解決編だが、そこへ三船敏郎演じる権藤のプライヴェートな問題(会社の権力闘争)が絶妙に絡んで、彼の人間像に奥行きと深みを与えている。
これが単に誘拐事件だけを扱った作品だったら、これほどの内容は出てこなかっただろうと思う。
序盤は俗っぽかった権藤の顔つきがどんどん立派になってゆくのも見もので、ラストは背中で魅せる。はじめは財力(経済力)、終わりは人間力。
公開から半世紀が過ぎても色褪せない傑作。