ガク

天国と地獄のガクのネタバレレビュー・内容・結末

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

セリフと画面、両方からの情報が半端なく溢れ出している。素晴らしい、美しい、カッコいい。子供達のヒーローは西部劇の保安官。戦後事業は軌道に乗ってきた頃、貧富の差が拡大し、蔓延するヘロイン。時代や設定の説明はテンポ良く映像で示されていった。

銀次郎の動機はなんだったのか。
銀次郎は母が死んだ事で悲しむものはいないと説明した。という事は、父は他界しているか離婚している。銀次郎という名前から、彼は次男であり、この家族は長男をも失っている可能性がある。いずれにせよ、銀次郎は天涯孤独の身になっていた。自暴自棄になっていたのだろう。研修医のインターンは必ずしも医者になれる保証が無かったとしたら、ますますうなづける。加えて夏の暑さにおかしくなってしまった。「おかしく」なってしまったという突発的な症状であったからこそ、投獄後に後悔していた。それがさらに彼を狂わせていった。これこそが銀次郎の地獄の始まりであった。

これがそうかそうで無いのかはどうでも良くて、つまり画面に起こっている事と彼らの表情を追っていけば、誰しもが自分の解釈を持てるという、つまり解釈の余地を広げたという意味で素晴らしい。

三船、仲代、山崎、三名とも素晴らしい存在感の放つ演技だと思った。映画館で観れて良かった。

@Vista Theatre
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