ごはんちゃん

天国と地獄のごはんちゃんのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.8
昔BS2で放送していたのを録画したVHSで鑑賞。

めちゃめちゃよい!!!
面白くスリリングでもあり、人間性に訴えかける。捜査が始まってからの緊張感たるや…自分も捜査官かのように錯覚するくらい入ってしまった。
異様な雰囲気の中に廃人達がたむろった黄金町のシーンは凄く不気味で怖かった…白黒による情報の少なさがより効果的な不安要素になる。

固まるポイントが二箇所。
二人の刑事と運転手、その息子が捜査中に見つけた共犯者の家。
子供が"おばちゃんとおじちゃん、寝てるよ"と。刑事が慎重に屋内を覗く。
そろそろと室内の様子を伺う刑事はハンカチを口元に…これが意味していたのは腐乱臭が漂っていたということだった。子供のセリフを鵜呑みにして寝てると思い込んでいた私は、殺されていたことに驚き食べていたお菓子の手が止まった…殺され方も意外で…

もう一つは終わり方。
"え?これで終わるの…?!"と固まった。(後々、山崎努の演技が素晴らしすぎてそのシーンをラストに変えたらしいと知った)

最後犯人の演技は上手かった。精神異常者を演じる人はどうも過剰になりがちで上手いと思う事はあまりない。殆どが不自然に見えてしまうが彼の演技はかなり自然に見えた。(後に犯人役が山崎努と知り驚き;)

全体を通して人の立ち位置が妙。
絵画的な構図のとり方だと思っていたら黒澤明が画家を目指していたと知り納得。確実にまた観る映画。