ena

聴こえてる、ふりをしただけのenaのレビュー・感想・評価

3.1
11歳のサチに訪れた早すぎる母親の死。大人は「お母さんはずっと天国で見守っているからね」と言うけれど、本当なの?

子どもの等身大の目線で描いた喪失と再生のストーリー。
ずっと観てみたかったこの作品は、「愛がなんだ」「his」の今泉力哉監督の妻であり、母であり、精神科の看護師でもある今泉かおり監督の意欲作。

母の死を一生懸命受け入れようとするサチを周りの大人や友達は励ましてくれるけど、気持ちの置き場所がなく葛藤する日々。
久しぶりに登校した時に出会った転校生の「のんちゃん」はお化けが怖くて一人でトイレに行けないちょっと幼稚で変わった女の子。
そんな彼女と触れ合う事で少しずつ変化していくサチの心境に心が痛み、目が離せなかった。

父親は死を受け入れられずにおかしくなっちゃうし、本当に彼女が不憫で不憫で。
ずっと涙を流すことがなかったサチが初めて涙を流した時、彼女の中で何かが成長したんだと思ったらなんだか救われた気がした。
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